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【研究】野球の当たり前を科学的視点から再考する

肩を作るって何?投げ過ぎって何?野球の素朴な疑問の解明を目指します。

プロ・アマ問わず、多くのスポーツでデータ活用が促進し、科学的根拠に基づいたトレーニングや指導の実践が一般的になりつつあります。日本で人気の高い野球も同様で、トラッキングデータを用いることでピッチングやバッティングのパフォーマンスをより詳細に評価できるようになりました。また、スマホのカメラやアプリの性能が著しく向上したことで、比較的簡易にフォームの解析ができるようになりました。このように、パフォーマンス向上に直結するところでは広くデータ活用が進んでいる一方、外傷・障害予防に関わるところでは十分と言えないのが現状です。最高のコンディショニングをデザインするためには、パフォーマンス向上と外傷・障害予防の両輪のバランスを保ちながら、いかに効率よく進めるかが重要となります。

そこで当研究室では、野球特有のコンディショニングに着目し、「肩を作るとは何なのか?」といった素朴な疑問の解明に努めています。肩が作られた状態の判断は、個人の主観に頼るところが大きく、結果として現れる投球パフォーマンスの変化に目が向けられがちです。その一方で、外傷・障害予防に関わる肩の状態変化については不明な点が多く残されています。これらを解明することにより、最終的には個人に合わせた最適な「肩を作る」方法の確立を目指しています。また、特に若年層の野球で問題視されてきた「投げ過ぎ」についても着目し、投球数の制限だけではカバーできない問題にもアプローチしています。肩や肘といった局所にかかる負担だけでなく、全身性の負担にも目を向けることで、「やり過ぎずにやり込む」にはどうしたら良いのか?投球に限らず、野球の練習についても考えていきます。

これらの研究は、プロ野球・独立リーグ、大学野球、高校野球の各カテゴリーにおいて、チームのニーズに合わせて実践しています。そこで得られた科学データを現場にフィードバックすることで、医科学サポートの役割も担っています。

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