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【教育】スポーツ現場における救護体制の構築
~スポーツ現場にいる全ての人を適切に救うために~
Field of play (FOP) と観客救護
スポーツ現場は主に選手や関係スタッフが活動するFOPと、観客エリアに分類されます。多くの選手・スタッフだけでなく、観客により人が沢山集まっている状況を「マスギャザリング(一般的には1000人以上)」と呼びます。
東京オリンピックでは無観客開催ではありましたが、FOPと観客それぞれで救護体制が作られ、全体統括を含めた指揮命令系統が確立していました。
「個人」への対応と「集団」への対応
FOP・観客とも、突然の心停止への対応はもちろん、熱中症や低体温、頭頚部含めた全身様々な外傷、といった命に関わる事案への対応が必要となります。これらに加えて競技特性に応じた疾患・外傷、昨今では新型コロナウイルス感染症を中心とした感染対策、さらに観客も含めると様々な背景疾患を抱えた方々がスポーツ現場に存在しています。
一方、マスギャザリングにおいては同時多発的に事案が発生した場合に、医療の需要と供給のバランスが崩れた状態となるリスクが存在します。この状態を「災害」と呼びますが、自然災害だけでなくスポーツ現場でも災害となり得るタイミングはあるため、基本的な災害医療の知識も必要となります。
多職種による救護体制を考え、啓発・教育を行う
このような多岐にわたる医療ニーズに対応するには、医師・看護師や救命士、アスレティックトレーナーや理学療法士だけでなく、時には選手やスタッフ自身、あるいは観客一人一人と協力する必要があり、更には救急や消防、警察や行政との連携も大切です。
当教室ではそれぞれの現場・人・資機材・予算に応じた現実的な救護体制を、実際に携わる方々とともに立案・構築しつつ、同時に多岐にわたる知識や技術が多職種間で共通言語となるよう、人材育成と啓発・教育に努めます。